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カテゴリ:教員コラム

環境は人を創る!(第3回)

その学校の様子が一目でわかるところがある。それはどこだろうか?

生徒玄関である。

落ち着いた学校は、下足箱の靴がそろっている。かかとが履きつぶされていない。

トイレがきれいな学校も、間違いなく生徒が落ち着いている。

だから、学校に来ることがあったら、ぜひ生徒玄関の下足箱を見ていただくといい。

落ち着いた生活を送っている生徒は、靴がきちんとそろっているし、履きつぶしたあともない。成績が伸びるかどうかも、靴を見ればわかる。

教育学者の森信三先生は、「学校の再建はまず紙くずを拾うことから。次には靴箱のかかとが揃うように。真の教育はこうした眼前の些事からスタートせねば一校主宰者たる資格なし。」と述べている。しつけは、「ハイの返事」「あいさつ」「はきものをそろえる」の3つで、これだけやれば他のしつけはできるようになるとも言っている。

靴と下足箱には、その学校に通う生徒の心が現れている。(つづく)

 

環境は人を創る!(第2回)

学年主任になったころから、朝の日課は校舎内をすみずみまで見回ることだった。

ゴミが落ちていればゴミ箱に捨て、トイレットペーパーがなくなっていれば補充し、蛍光灯が切れていれば取り替えた。生徒が登校する前にきれいにしておく。生徒には汚いところ、壊れているところを見せないよう心がけた。

皆さんは「壊れた窓」理論を知っているだろうか?

この理論は「無傷の建物なら石を投げない人間でも、すでに窓がひとつ壊れている建物なら、もうひとつ窓を壊すことには抵抗を感じないし、さらに、次々に窓を割っていくだろう」と考える。

ゴミが落ちていれば、ゴミを落とすことに躊躇はしないし、そのうち落書きなども平気でするようになって、どんどんエスカレートしていく。

そうならないために、小さなことをおろそかにせず、些細な問題が大きな惨事に発展するのを防げ、ということを元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ氏の本から学んだ。

このことは、彼の「リーダーシップ」という本に詳しく書かれている。経営に興味がある人にはオススメである。

(つづく)

環境は人を創る!(第1回)

毎日、学校の周りのゴミ拾いをしている。田んぼに囲まれた田園地帯。ゴミはもともと多くない。たまに落ちているのはタバコの吸い殻とコンビニで買った食べ物の包みやコップ。バケツと火ばさみを持ってそれらを拾いながらゆっくり歩く。時には田んぼの中にも入っていく。テニスや野球のボールが田んぼに入って、農家の人には迷惑をかけているので、せめてものお返しである。

自分は気がつく方ではない。だから、きれいにかたづけていつも同じ状態を保つ。同じ状態にしておけば、何かあればすぐにわかる。そうやって小さな変化を見逃さないよう心がけてきた。

きれいにしておけば、気持ちがいいし、やる気も出る。何よりきれいにしておけば、汚そうという人は出てこない。本校には、玄関や中庭、グラウンドの花壇を花でいっぱいにしてくださる方がいるので、来校される方を気持ちよく迎えられる。大変ありがたいことだし、なかなかできることではない。(つづく)

 

校長室の扉をたたく!(最終回)

3年生にとって進路は大きな問題だ。

昨年は、授業料の無償化が後押しとなって、私立高校に人気が集まり、しかもどの私立高校も定員を超えて合格者を出したため、ほとんどの県立高校が募集定員に達せず、大きな穴があいた。

受験者数が定員を大きく超えたのは、藤島高校、高志高校、武生高校の3校しかない。推薦制では人気があった福井商業高校も試験制では、定員に満たない学科があり、2次募集が行われた。

この私立志向は全国的な傾向である。来年のことを予想することは難しいが、このまま私立志向は続くけれど、県立高校への揺り戻しがあると思っている。

これまでの経験から、多くの県立高校は、真面目に授業を受けて、課題をきちんとやっていれば合格できる学力は身につく。合否を決めるのは、最後まで努力し続けられるかだ。推薦で合格が決まる、私立高校に進学する、と周りの友達の進路が確定していく中で、自分だけが最後の最後まで(3月まで)勉強を続けていくのはつらい。つらいから、あきらめてしまう。校長室の扉をたたく生徒は、そのつらさに耐える覚悟ができているし、途中であきらめないよう、退路も絶っている。入試には、短いながらもその生徒のそれまでの人生があらわれている。

未来への扉は、いつでも開いている。あとは、いつ、だれがその扉をたたくかだ!(了)

校長室の扉をたたく!(第4回)

高校へ行くと数学はなおさら、重要になる。

学年が上がると数学が伸びない生徒は、計算力がない。計算問題を解かないとスピードはつかず、ひらめきも生まれない。小学生からの積み上げが大きく影響する教科だ。

その一方で数学は、不登校生徒の自信をつけるのに役に立つ。

もうずいぶん前の話だけれど、小学校4年ごろから不登校の生徒がいた。たまたま、中2の時、担任になったので勉強をみてあげることにした。空き時間に、母親に頼んで生徒を学校に連れてきてもらい、40分ほど勉強を教えた。選んだ教科は数学。小学校の計算問題から復習できる薄目の問題集を選び、毎日解いていく。

数学を選んだのには理由がある。数学は、できた、できないがはっきりしているから、ひとつ解けるととてもうれしい。やりがいがある。

その生徒は真面目な生徒だったので、計算問題が解けるようになって自信をつけ、中3の4月からは教室に入るようになり、他の教科の成績も上がって、高校に合格した。(つづく)

校長室の扉をたたく!(第3回)

男子と女子の違いは、他にもある。

男子は2、3年生になって成績が伸びるということがあるけれど、女子は学年が上がるにつれて伸びるということはあまりない。だから、1年生で貯金する(成績を上げておく)ことが大切だ。授業をきちんと受けて、宿題や課題を真面目にやる習慣をなんとか身につけておきたい。

女子は文系教科が得意と言われるけれど、社会、特に公民が得意な女子はあまりいない。数学が苦手な女子も多い。高校受験で合否を左右するのはいつでも数学である。県立高校入試では、英検3級や準2級で5点の加点があったけれども(来年度から廃止)、加点の5点よりも、数学の1問の方が、合否に影響がある。(余談だけれども、今年の入試は数学が難しかったので、数学で差がつかず、数学が苦手な生徒に有利な入試だった。)(次回につづく)

 

校長室の扉をたたく!(第2回)

男子と女子、同じような実力で、同じ高校を目指していても、合格に向けて立てる戦略は、全く違う。

男子は、火がつくまでは時間がかかるがいったん火がつけば、自分で燃える。だから火がつけば、あとはあまり手間はかからない。一方、女子は火はすぐにつくけれど、ろうそくのような火なので、こまめに見てあげないとすぐに消えてしまう。だから、火を消さないようにこまめなアドバイス(励まし)が欠かせない。

今回も男の子にはさしあたって必要なことをアドバイスして、あとは会った時に、「がんばってるか。困ったことがあったら来いよ。」とか、「風邪をひくなよ。」とか言うくらいで、何もしてはいない。

女子は、そうはいかない。女子には「こまめにおいで。」と言って二日おきぐらいの間隔で必ず会う。

会ったら、質問に答えながら、うまくできた部分をほめて、できなかったところは話題にもせず、「ここができているから、大丈夫。」とか、「あせるな。時間はあるからゆっくりやろう。」というような言葉をかける。

女子は、気持ちが落ち込みやすい。だから落ち込まないように、気持ちが安定するように、必ず声をかける。

男子はいかに火をつけるか、女子は精神面をいかに安定させるか、に重点をおくことになる。

(次回につづく)

 

生徒の皆さんへ

学校に登校しなくなって、2週間以上過ぎました。学校のない生活はどうですか? 最初は、いいと思っていたけれど、学校がないとヒマだと思っている人も多いと思います。当たり前が当たり前でなくなると、学校があるありがたさもわかってもらえるのではないでしょうか。25日、26日は登校日なので、そろそろ体を慣らしておいてください。

さて、勉強はしていますか? 特に2年生は、いよいよ3年生で受験の年です。受験は、早く準備を始めた人が圧倒的に有利です。早い人は小学校のときから、または中学校に入学したときから、高校進学のための勉強を始めています。3年生になった瞬間、ピストルが鳴って、「よ~い、どん」と、受験レースが始まるわけではありません。気づいた人から走り出しています。

皆さんは、入りたい高校は決まっていますか? 今の状態で大丈夫ですか?

学校が休みなので、自由になる時間はたくさんあります。その時間をどのように使うか、考えてみましょう。今が一番、勉強に打ち込めるときで、一番成果があがるときです。

校長 湯口 和弘