カテゴリ:教員コラム
成績表をお渡しします!
本日、3学年とも成績表をお渡しします。1,2年生は定期考査の結果を、3年生は8月に実施した確認テストと定期考査の結果を載せてあります。回収はしません。
せっかくなので、成績表の見方について、お話ししたいと思います。
まず、成績表をもらうと、合計点や番数に目が行きがちですが、それだけでは、生徒の成績を理解したことにはなりません。もう少し考えてみると、子どもをほめるポイントが見つかります。
まず、番数ですが、テストはみんなも同じように勉強しているので、そう簡単には上がりません。ですから、上がっていたら、まずは手放しにほめてあげましょう。一生懸命、テスト勉強をした証拠です。
次に、それぞれの教科の点数をみて、できている教科をほめてあげましょう。人は、苦手な教科をみて、「次はこの教科をがんばれば、もっとよくなるね」というようなことを言ってしまいがちです。でも、苦手な教科を得意にするより、得意な教科をさらに伸ばす方が子どものやる気が出ます。できなかった教科は目をつむり、できる教科をさらに伸ばすよう、話をしてあげましょう。心配しなくても、得意な教科が増えれば、苦手な教科もできるようになってきます。
そして、今度はそれぞれの教科の点数をみます。これは教員の経験で、根拠はありませんが、80点以上あれば、習った内容は理解していると考えていいでしょう。50点以下なら、本人の努力だけで内容を理解するのは難しいです。必ず誰かの手助けが必要です。友達や兄弟、先生などの力が必要です。50点以上なら本人の努力次第です。50点を60点にするのに1の努力が必要なら、60点を70点にするのに2の努力、70点を80点にするに3の努力、80点を90点にするには6の努力が必要です。90点からは1点上げるのに同じだけの努力が必要です。
中学校の成績は、学習習慣がものをいいます。予習で教科書を読み、授業を受け、課題やワークに取り組めば、よい成績を残せるようになっています。頭のよさだけでは、安定した成績を残せません。家に帰った後、宿題をしてから自分の好きなことをするか、自分の好きなことをしてから宿題をするかの差とも言えます。成績が上がらず悩んでいる人は、早く教科の先生に相談に行くといいです。よいアドバイスがもらえると思います。
次の大きなテストは、1,2年生は11月4,5日に確認テストがあります。3年生は10月1,2日に確認テスト、11月4,5日に学力診断テストがあります。まずは成績を分析して、自分の得意な教科は何か、どうやったらもっと伸ばせるのか、考えてみることから始めてみましょう。
ネット時代・・・
田中角栄元総理大臣といっても、生徒のみなさんはもちろん、保護者の皆さんも余り知らないかもしれない。金権政治で日本中から批判されたが、人の心がわかる人だったことは間違いない。そうでなければ、小学校しか出ていない人が総理大臣になれるはずはない。
その田中角栄元総理大臣の言葉に、「人の悪口は5分もたてば、相手に届く。遅くても夕飯までには届く。でもほめる話は1年経っても届かない」というのがある。
ネット時代になって、人の批判は瞬時に、そしてどこでも届くようになった。アメリカの大統領の悪口だって、いつでも書けるし、ネットですぐに届く。
でも、人をほめる話はネット時代になっても一向に届かない。ほめようと思えば、いつでもどこでも届くはずだが、そんな話は滅多にお目にかからない。新しいことをやれば、批判はくるけれども、よくやったという言葉はこない。がんばっていますね、という言葉すらやってこない。
先日、「少年の主張」コンクール福井県大会の審査をする機会があった。県下の中学校から8名の生徒の作品が選ばれ、審査するものであった。
その中の一つに、「人は自分の見たいものしか見ない」という言葉があった。誰でもそうだと思うが、人は人の良いところを見つけるのが苦手である。人をほめるのはもっと苦手である。だから、「〇〇していただいてありがとうございます。でも、△△。・・はいかがなものでしょうか」という話になる。
人の批判からは、新しく前向きなものは生まれてこない。先が見通せない不安な時代に、批判ばかりがやってくるのなら、何かやろうという気持ちは起きてこない。コロナウイルス感染症に感染しているとわかると、あちこちから誹謗・中傷がやってくる。医療従事者や介護従事者、飲食店が真っ先に批判されるのでは、たまったものではない。ネット時代だからこそ、人ががんばっている話や人をほめる話を発信していかなければならない。それが今の日本に欠けていることだ。
コロナ時代・・・
今年の夏休み、屋根の瓦が割れているのを見つけ、直さないと、と思って、ネットで業者を探すと、教え子の両親が経営していた会社を見つけた。家の近くでもあり、料金も手頃だったので、電話するとすぐに来るという。家で待つこと20分、名刺をもらうと見覚えのある名前があり、代表取締役と書かれていた。
「いくつになった」
「40です」
「25年ぶりやな」
「覚えていてくれたんですか」
「もちろん」
お盆の前には、「弟が話したいと言っています」というメールがやってきた。こちらは30年以上会っていない。どこで働いているかは知っているけれど、会うことはないので、せっかくだからと思い、電話して替わってもらった。さんざん、からかわれたが、次に話す機会はないかもしれないと思うと、とてもうれしかった。
コロナ時代・・・。
一番心配しているのは、中学3年生の時、クラスみんなで何かをいっしょにやったという思い出がないことだ。修学旅行もなくなり、春夏の部活動の大会もない。学校祭も縮小となれば、20年後、30年後に同窓会をしても、共通の思い出がない。共通の思い出がなければ、みんなで集まろうという気持ちは生まれて来ない。だから、3年生のみんなは真剣になって、自分のクラスで自分たちの思い出づくりをしたほうがいい。こんな時だからこそ、みんなで何か一つのことに取り組む。気の合う仲間とだけやるのではなく、クラスみんなで何かをする。今はわからないかもしれないけれど、思い出がないというのはあとあとまで尾をひく。それは1,2年生も同じだ。
どの学年も授業の遅れはもう解消しているので、それなりのまとまった時間をあげることもできる。あとは、みんなの気持ちだけだ。クラスみんなで楽しむ。それがコロナ時代に打ち勝つ方法だ。
校長 湯口 和弘
今日の大東中学校!
放課後、3年生の生徒が英作文を持ってきました。毎回毎回、内容がよくなっているので大変楽しみです。ついでに受験テクニックも伝授して、目標の高校に合格してくれれば、と思います。話していると、とても意識が高いので、間違いなく合格すると思います。
いつも6時を過ぎたころから、学校中を回ります。感心するのは南校舎2階、3階のトイレです。清掃道具がきちんと整頓されています。使い終えたトイレットペーパーの芯も残っていませんし、床にトイレットペーパーの切れ端も落ちていません。たぶん、学校中で一番きれいな場所だと思います。毎日清掃してくれる生徒に大変感謝しています。ありがとうございます。次に感心するのは1年生の教室です。机とイスがきちんと並んでいて、秩序があります。トイレがきれいな学校は、いい学校です。生徒玄関のくつがそろっている学校も自慢できます。「神は細部に宿る」といいます。ほんの小さな違いが積み重なって、大きな差となってあらわれるのではないでしょうか!
いよいよ、梅雨入り!
おはようございます。学校が始まり、2週間が経ちました。5教科の授業は、どの学級も46時間程度ありました。昨年の3月にできなかった授業は40時間程度なので、やっとその分が終わりました。これからも特別時間は続き、なんとか夏休みまでに、例年と同じ進度まで進めたいと考えています。
さて、毎朝学校に来てやっていることは、生徒玄関に咲いている花の世話です。
世話といっても水をやり、咲き終わった花を摘み取るだけですが、20分ぐらいの時間がかかります。
植物は大変正直で、5月のゴールデンウィークに水をやり忘れた日が3日ほど続いたら、すぐに元気をなくし、枯れ始めました。これは、まずいとその日から毎日かかさず水をやり続けています。しかし、素人はどのくらい水をやっていいのか、わかりません。花壇の世話をしていただいている人に相談すると、「水はやりすぎると、植物が元々持っている水を吸収する力がつかない」と言われました。植物も過保護はダメだということです。
「咲き終わった花を早めに摘み取るといい」とも言われました。「花が咲き終わると、その花が使っていた養分は種になるのに使われる。だから種に養分がいかないように花を摘み取れば、その養分は他の花を咲かせるために使われ、次々に花を咲かせますよ」と言われて、実践してみると確かに、次から次へと花が咲き、きれいな状態が長持ちして、かれこれ1ヶ月以上経っています。やはり長年、栽培に携わっている人の知識や経験は違います。すぐに成果があらわれるのもすばらしいです。
では、今日も工夫して楽しく生活しましょう!生徒のみなさんは、体をやすめてください。
校長 湯口 和弘
オススメの本(第3回)
今回は学校司書の先生に、オススメの本を紹介していただきました。
「君の膵臓をたべたい」(住野よる・著/双葉社)
2016年の本屋大賞、第2位に選ばれた作品です。この本は、中高生から絶大な人気を得ています。 人と関わることに無関心な僕と、死の間近にいる天真爛漫な彼女。正反対の2人は、やがてお互いになくてはならない存在になっていきます。 恋愛を超えた純愛とでもいうんでしょうか、ありふれた言葉では表しきれない関係は、何か、「生きる」ということに対する憧れのように感じました。
そして表紙の桜並木は、なんと福井の足羽川をモデルに描かれたものです。(イラストレーターの方が、福井出身)出版社から「青春100%の絵にしてほしい」という依頼を受け、真っ先に思い浮かんだのが、あの桜並木だったそうです。
日常の中の、一つ一つの選択を大切にすること。そして、今日生きているということは、誰にも等しく与えられた奇跡なんだということを、思い出させてくれる作品です。
(ちなみに、住野よるさんの作品は、今年の県立高校の入試問題にも出題されています。)
昔は読み、書き、そろばん
昔は習い事といえば、読み、書き、そろばんでした。
では今は何でしょう。
長い間教育に関わってきた経験からいうと、今は読み書き、そろばん、英語ではないでしょうか?
今は、何か読んで理解したら、必ず自分の考えをまとめて表現することが求められています。レポートを書いたりプレゼンをしたりして、入力(学ぶこと)と出力(まとめて発表すること)が一体になっています。だから、本を読むだけですませるのではなく、その本の中で気に入った部分をノートに書き出したり、感想を書いてみたりすると、高校や大学、社会人になってずいぶん役にたつと思います。(自分も本を読んでいるとき、気にいった部分や思いがけない部分に線をひいて、それをあとでノートに書き写していました。)
本は今、売れているそうです。時間をつぶすのに読書ほどいいものはありません。まずは、自分がおもしろそうだなと思う本を読んでみましょう。1冊読んでおもしろかったら、その作家の別の本を読むのはとてもいいことです。そうやって、どんどん興味の輪を広げていきましょう。こんな読み方もあります。中国の「三国志」が好きなひとは多いでしょう。「三国志」を読んだら、日本の戦国時代の本を読んでみる。今、NHKの大河ドラマは「麒麟がくる」です。明智光秀の話ですが、織田信長や斎藤道三に興味があるなら、司馬遼太郎の「国盗り物語」を読んでみる、というように少しずつ範囲をひろげていくのです。一つの作品や作家を中心に、関連するものを読んでいく、読み終わったら、200字ぐらいの感想を書いておくと学校の授業のかわりにもなり、十分おつりもくると思います。早い時期からやりはじめると、いっそう効果があります。何かとじっくり向き合う時間は大切です。そこから、子どもの未来が見えてくると思います。
そろばんと英語については、また機会があれば書いてみたいと思います。
追伸 音楽の先生に、「大切なもの」を弾いていただきました。学校からのお便りの臨時休業関係のフォルダに入れておきました。歌ってみてください。
こんな時だからこそ、本を読もう!
今、本屋さんに行くと県内の高校がオススメする本を紹介するコーナーがある。新入生への課題図書だ。その中に「ポーツマスの旗 ー外相・小村寿太郎ー」という本がある。作者は吉村 昭という人で、奥さんが福井市出身の津村節子さんなので、本県にもゆかりがある。歴史の授業で習ったと思うが、日露戦争後のポーツマス講和条約締結の交渉を行った中心人物が小村寿太郎である。この本を読んでいくと、多くの人が戦争に巻き込まれ、幸せな人生を奪われていくが、その中で強く生きていく人の姿が描かれている。今回の新型コロナウイルスのせいで、ついさっきまで、そこにあった幸せな学校生活が奪われてしまったと思っているかもしれない。なぜ、自分たちの時に、と恨んでいるかもしれない。でも歴史を振り返ってみると、こんな出来事は何度もあって、困難に負けず、一生懸命生きようとした人がいたことは、例えばこの本を読むとよくわかる。本を読むということは、人の生き様を知ることであり、自分が生きる意味や生きる勇気を学ぶことになる。こんな時こそ、苦難に負けなかった人について書かれた本を読んでほしい。オススメはいくらでもある。でも、いつか必ず読んでほしいのは、司馬遼太郎の「坂の上の雲」と「竜馬がゆく」だ。
好きこそものの上手なれ!
将棋界の天才といえば、羽生善治さんが浮かびます。その羽生さんは「ずっとやっていられる」というのが才能だと言います。そのことについて述べた文を紹介します。
確かに将棋は才能の世界で、奨励会に入ってくるような子どもはみんな、普通の子に比べて才能がある。羽生さんがそうであるような、明らかな天才だっているわけです。
でも、その子どもたちがプロになって活躍するか、伸び悩んでやめてしまうかの分かれ目は生まれつきの才能にほぼ関係ない。1日8時間、毎日将棋の勉強をする生活を何十年続けられるか、この一点にかかっているというのが羽生さんの話でした。
結局、好きだから続けられるんですよね。羽生さんも将棋のことを考えるのが楽しくて、30年もの間、対局があってもなくても、どんなに疲れていても、毎日5〜6時間は将棋について考えているというんですよ。
「才能って何かっていったら、結局続けられるかどうかだと思います」という羽生さんの話で、僕は「ああ、本当に将棋が好きなんだな」と思いました。
世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術 著者 水野 学 山口 周 朝日新聞出版 2020年
追伸 新1,2年生にワークを配付しています。早めに取りに来ていただけると大変助かります。よろしくお願いします。
オススメの本(第2回)
世界のたね 真理を追いもとめる科学の物語 アイリック・ニュート 著 猪苗代英德 訳 NHK出版 1999年
子供向けの本には大人にとってもいい本がたくさんある。新型コロナウイルス感染拡大のことを考えていた時、この本を思い出したので、ちょっと長いけれども、引用する。
1348年から1350年にかけてヨーロッパでは黒死病、ペストという伝染病が流行し、ヨーロッパの全人口の三分の一が命を奪われ、ヨーロッパ以外の国々でも何百万もの人が死んだ、と述べて次の文が続く。
「この病は人を選ばなかった。貧しい人びとも裕福な人びとも、おなじようにこの病におかされた。医者たちは、患者がつぎつぎに死んでいくのを、ただ黙って見ているほかなかった。いくら司祭たちが神に祈ったところで、まったくむだだった。
ほんの短期間のあいだに、まわりの人の三分の一が死んでいくという状況がどういうものなのか、きみもちょっと想像してみるといい。きみの町の住民の三分の一が、クラスメートの三人に一人が、家族の三人に一人が、いなくなってしまうんだ。きみなら、そのあとどうやって生きていく? そんなすさまじい災厄のあとに、生き残った人たちはなにを考えていたんだろう? 昔はメディアも世論調査もなかったから、当時の人たちの行動を知ることはむずかしい。でも、おおかたの人は、たぶん、神への信仰を失ったんじゃないだろうか。生涯の大部分を教会に捧げてきた人たちに破局が訪れたとき、助けてくれる神はどこにもいなかったんだから。
その思いは、黒死病がおさまったあとのイタリアで起こったできごとに、少なからず反映しているだろう。大災厄によって社会は完全に麻痺し、多数の農民や労働者がいなくなり、孤児は町にあふれ、修道院や大学は優秀な学僧や学者を失ってしまった。けれども、数十年後、イタリアは復興したんだ。そして、一つの革新的な運動が起こった。」(教科書で習うルネサンス運動の前にはこんなできごとがあったのだ。)
私たち人間は、何度も大きな危機を乗り越えてきた。歴史は、そのことを教えてくれる。科学の歴史に興味があるなら、この本はオススメだ。