カテゴリ:教員コラム
いよいよ、花が開く!
初めてやってきたのは夏休みに入る頃だった。
「先生、英語教えてください」
すぐにこれまでのテストの結果を調べて、英語ができるようになるまでの手順を考えた。
「じゃ、まずこの単語を覚えろ」と言って本屋で買った単語のカードを渡した。
カードは約1000枚。100枚ずつ、リングに通して
「これ、覚えたらおいで」
何日かして、「覚えました」
「じゃあ、テスト」「よし、合格」「次の100枚」という風にやっていたら、8月でほとんど終わった。
だいたい覚えたので、「次は英訳やってみるか」
最初はもちろん、覚えた単語と英文が結びつかない。だから、英語の文の仕組みを教える。
「英語はまず主語(誰が)、そして動詞(どうした)、そして何を。あとは、どのように、どこで、いつ」
「主語は丸で囲って、動詞には波線。in や on、at の所に / を入れるんだ。そうやって、細かくしていけば、わかりやすくなる」
そんな風に一文一文訳しながら、1ヶ月が過ぎた。いつのまにか第47問まで進んだ。
そして今日。
「おっ、いいぞ。うまく訳している」
「ちょっと見えてきました」
「じゃ、学力診断テストの過去問、見せてみろ」
「まだ、全部解いていません」
「いいから、見せてみろ」
「おおっ、できてるやないか。この調子や!」
もう2ヶ月以上、空き時間を見つけては、定期的に校長室にやってきている。単語をしっかり覚え、意味をつかむコツを学んだから、内容がわかる実感がもてるようになった。あとは、過去問に取り組めばいい。ここまでくると、雪だるまが坂道を転がって自ら大きくなるように、どんどんわかるようになる。教える方も成長が実感できるから、なおさら気合いが入る。
2ヶ月前に蒔いた種がいよいよ花開く!
どんな色の花を咲かせるのか、楽しみはつきない。やっぱり、教員はハンターではなく、ファーマーだ。