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カテゴリ:教員コラム

子どもを褒めるのは難しい!

前にも話したことがあるが、人は褒めることが得意ではない。それは、自分が褒められて育ってこなかったからだろう。子どもが自分なりの努力をして、結果を残したとする。最初は「がんばったね」という言葉から始まっても、いつのまにか「おまえならできると思った」となり、「もっと頑張れるんじゃない」とか「次の目標は」という話になってしまう。結局、子どもを叱咤激励しているだけで、がんばったことの褒め言葉にはなっていない。だから、いつもと違ってがんばっているなあと感じたら、たいした結果が出ていなくても、がんばっていたことだけを手放しで褒めたなら、子どもはもっと伸び伸びと、次もがんばろうとするに違いない。いつだって、子どもが一番うれしいのは親に褒められ、認められた時だからだ。 

宇宙兄弟を読んでいたら、こんな言葉があった。 

  迷った時はね

  「どっちが正しいか」なんて考えちゃダメよ

  「どっちが楽しいか」で決めなさい 

理詰めは人を納得させることはできても、人を動かすことはできない。思いっきり褒めてやらないと、人は動かない。

イトーヨーカ堂の設立者 伊藤雅俊さんの言葉

「お客さんは来ないもの」「取引をしたくてもお取引先は簡単には応じてくれないもの」「銀行は貸していただけないもの」、そのようなないない尽くしから、商いというものは出発するのだよ 

「商売とはね、お客さまを大事にすること、そして信用を大事にすること、それに尽きるのだよ」 

お客さまには「見えているお客さま」と「見えていないお客さま」の二種類のお客さまがいらっしゃるのです。商売の難しいところは、「見えているお客さま」に満足していただくだけでなく、「見えていないお客さま」のことも想定しなければならない点です 

日々の商売を力強くすすめていくために大事なことの一つは、いわゆる世間というものを信頼することだと思います

伊藤雅俊さんには「商いの心くばり」というすばらしい本があります。読みすすめると、あちらこちらで心に響く言葉に出会います。それがどれだけ仕事の役に立ったことか。興味のある方は是非、手にとってみてください。オススメの一冊です。

久しぶりにオススメの本!

弱虫の生きざま ー身近な動植物が教えてくれる弱者必勝の戦略ー 著者 亀田恭平 出版社  KADOKAWA

NHKのニュースで取り上げられているのをたまたま見て、とても面白そうに思えたので、早速買って読んでみた。身近な生き物は知恵を絞り、さまざまな工夫や策をこらして自然界で生き残ろうとしている。その生きざまは私たちの生活を豊かで楽しくしてくれる手がかりとなるとともに、自然の神秘やすばらしさも再確認させてくれる。ヘタな自己啓発の本よりも役にたつ、大人にもオススメの本である。ぜひ、読んでみてください。

 

成績表をお渡しします!

本日、3学年とも成績表をお渡しします。1,2年生は定期考査の結果を、3年生は8月に実施した確認テストと定期考査の結果を載せてあります。回収はしません。

せっかくなので、成績表の見方について、お話ししたいと思います。

まず、成績表をもらうと、合計点や番数に目が行きがちですが、それだけでは、生徒の成績を理解したことにはなりません。もう少し考えてみると、子どもをほめるポイントが見つかります。

まず、番数ですが、テストはみんなも同じように勉強しているので、そう簡単には上がりません。ですから、上がっていたら、まずは手放しにほめてあげましょう。一生懸命、テスト勉強をした証拠です。

次に、それぞれの教科の点数をみて、できている教科をほめてあげましょう。人は、苦手な教科をみて、「次はこの教科をがんばれば、もっとよくなるね」というようなことを言ってしまいがちです。でも、苦手な教科を得意にするより、得意な教科をさらに伸ばす方が子どものやる気が出ます。できなかった教科は目をつむり、できる教科をさらに伸ばすよう、話をしてあげましょう。心配しなくても、得意な教科が増えれば、苦手な教科もできるようになってきます。

そして、今度はそれぞれの教科の点数をみます。これは教員の経験で、根拠はありませんが、80点以上あれば、習った内容は理解していると考えていいでしょう。50点以下なら、本人の努力だけで内容を理解するのは難しいです。必ず誰かの手助けが必要です。友達や兄弟、先生などの力が必要です。50点以上なら本人の努力次第です。50点を60点にするのに1の努力が必要なら、60点を70点にするのに2の努力、70点を80点にするに3の努力、80点を90点にするには6の努力が必要です。90点からは1点上げるのに同じだけの努力が必要です。

中学校の成績は、学習習慣がものをいいます。予習で教科書を読み、授業を受け、課題やワークに取り組めば、よい成績を残せるようになっています。頭のよさだけでは、安定した成績を残せません。家に帰った後、宿題をしてから自分の好きなことをするか、自分の好きなことをしてから宿題をするかの差とも言えます。成績が上がらず悩んでいる人は、早く教科の先生に相談に行くといいです。よいアドバイスがもらえると思います。

次の大きなテストは、1,2年生は11月4,5日に確認テストがあります。3年生は10月1,2日に確認テスト、11月4,5日に学力診断テストがあります。まずは成績を分析して、自分の得意な教科は何か、どうやったらもっと伸ばせるのか、考えてみることから始めてみましょう。

 

ネット時代・・・

田中角栄元総理大臣といっても、生徒のみなさんはもちろん、保護者の皆さんも余り知らないかもしれない。金権政治で日本中から批判されたが、人の心がわかる人だったことは間違いない。そうでなければ、小学校しか出ていない人が総理大臣になれるはずはない。

その田中角栄元総理大臣の言葉に、「人の悪口は5分もたてば、相手に届く。遅くても夕飯までには届く。でもほめる話は1年経っても届かない」というのがある。

ネット時代になって、人の批判は瞬時に、そしてどこでも届くようになった。アメリカの大統領の悪口だって、いつでも書けるし、ネットですぐに届く。

でも、人をほめる話はネット時代になっても一向に届かない。ほめようと思えば、いつでもどこでも届くはずだが、そんな話は滅多にお目にかからない。新しいことをやれば、批判はくるけれども、よくやったという言葉はこない。がんばっていますね、という言葉すらやってこない。

先日、「少年の主張」コンクール福井県大会の審査をする機会があった。県下の中学校から8名の生徒の作品が選ばれ、審査するものであった。

その中の一つに、「人は自分の見たいものしか見ない」という言葉があった。誰でもそうだと思うが、人は人の良いところを見つけるのが苦手である。人をほめるのはもっと苦手である。だから、「〇〇していただいてありがとうございます。でも、△△。・・はいかがなものでしょうか」という話になる。

人の批判からは、新しく前向きなものは生まれてこない。先が見通せない不安な時代に、批判ばかりがやってくるのなら、何かやろうという気持ちは起きてこない。コロナウイルス感染症に感染しているとわかると、あちこちから誹謗・中傷がやってくる。医療従事者や介護従事者、飲食店が真っ先に批判されるのでは、たまったものではない。ネット時代だからこそ、人ががんばっている話や人をほめる話を発信していかなければならない。それが今の日本に欠けていることだ。