カテゴリ:教員コラム
この頃、思うこと!
「現代経営学」や「マネジメント」の発明者であるピーター・ドラッカーの本の中に、次のような話がある。
紀元前440年頃、ギリシャの彫刻家フェイディアスは、アテネのパンテオンの屋根に建つ彫刻群を完成させた。
フェイディアスの請求書に対し、アテネの会計官は支払いを拒んだ。
「彫像の背中は見えない。見えない部分まで 彫って請求してくるとは何事か」
それに対し、フェイディアスは 答えた。
「そんなことはない。神々が見ている」
苦労をして子どもを育てていた母親の口癖は、
「うそをつくな。お天道様(てんとうさま)は見ている。」だった。
そう言われて育ったせいか、今でもどこかで誰かが自分を厳しい眼で見ているような気がしている。いつも、お天道様には「手を抜くな」とか「うそをつくな」とか「人に迷惑をかけるな」と言われている。でも、それは「お天道様はいつも自分を見ていてくれる」ということであり、「自分はお天道様に守られている」ということでもある。自分の人生についてはとても楽観的で、「(お天道様に見守られているから)自分は最終的には運がいい」と思っているから、つらいときもがまんができた。
「お天道様が見ている」といっても、今の中学生は話を聞いてもくれないだろう。でも、人が幸せに生きていくには、お天道様のような絶対的な存在は必要なので、今の時代のお天道様ロスはとても大きくて痛い。
神は細部にこだわる!
読書は趣味なので、よく本屋さんに行く。手にとって、中身を確かめられるから、ネットでは買わない。最近がっかりするのは、本が無造作に並べられていることだ。きちんと元に戻さない人が増え、扱いがずいぶん雑になったと思う。だから、崩れている本に目が行き、次から次へとそろえていく自分を周りの人は変な目で見ているにちがいない。
「神は細部に宿る」 建築家 ミース・ファン・デル・ローエの言葉だ。
放課後、廊下から教室の中をのぞいたとき、窓の鍵がかかっていて、机といすのタテヨコがそろい、ゴミが落ちていないのをみると、先生の目は細部まで行き届いていると思う。きっと生徒も喜んでいるだろう。きれいな教室を汚く使おうとする生徒はいないし、きれいなところでゴミを出すのは気が引けるだろう。自然、心が穏やかになってくる。以前、「トイレの神様」という歌が流行った。神はきれいなところが好きだから、きれいなトイレには神が宿る。トイレットペーパーがたれ下がっていたり、芯がそのまま残っていたりするトイレには神は宿らない。次に使う人のことを考える。きれいなところは誰でもうれしい。汚くなりがちなところだったら、なおさらうれしい。ちょっとした心遣いは人を幸せにする。
子どもを褒めるのは難しい!
前にも話したことがあるが、人は褒めることが得意ではない。それは、自分が褒められて育ってこなかったからだろう。子どもが自分なりの努力をして、結果を残したとする。最初は「がんばったね」という言葉から始まっても、いつのまにか「おまえならできると思った」となり、「もっと頑張れるんじゃない」とか「次の目標は」という話になってしまう。結局、子どもを叱咤激励しているだけで、がんばったことの褒め言葉にはなっていない。だから、いつもと違ってがんばっているなあと感じたら、たいした結果が出ていなくても、がんばっていたことだけを手放しで褒めたなら、子どもはもっと伸び伸びと、次もがんばろうとするに違いない。いつだって、子どもが一番うれしいのは親に褒められ、認められた時だからだ。
宇宙兄弟を読んでいたら、こんな言葉があった。
迷った時はね
「どっちが正しいか」なんて考えちゃダメよ
「どっちが楽しいか」で決めなさい
理詰めは人を納得させることはできても、人を動かすことはできない。思いっきり褒めてやらないと、人は動かない。
イトーヨーカ堂の設立者 伊藤雅俊さんの言葉
「お客さんは来ないもの」「取引をしたくてもお取引先は簡単には応じてくれないもの」「銀行は貸していただけないもの」、そのようなないない尽くしから、商いというものは出発するのだよ
「商売とはね、お客さまを大事にすること、そして信用を大事にすること、それに尽きるのだよ」
お客さまには「見えているお客さま」と「見えていないお客さま」の二種類のお客さまがいらっしゃるのです。商売の難しいところは、「見えているお客さま」に満足していただくだけでなく、「見えていないお客さま」のことも想定しなければならない点です
日々の商売を力強くすすめていくために大事なことの一つは、いわゆる世間というものを信頼することだと思います
伊藤雅俊さんには「商いの心くばり」というすばらしい本があります。読みすすめると、あちらこちらで心に響く言葉に出会います。それがどれだけ仕事の役に立ったことか。興味のある方は是非、手にとってみてください。オススメの一冊です。
久しぶりにオススメの本!
弱虫の生きざま ー身近な動植物が教えてくれる弱者必勝の戦略ー 著者 亀田恭平 出版社 KADOKAWA
NHKのニュースで取り上げられているのをたまたま見て、とても面白そうに思えたので、早速買って読んでみた。身近な生き物は知恵を絞り、さまざまな工夫や策をこらして自然界で生き残ろうとしている。その生きざまは私たちの生活を豊かで楽しくしてくれる手がかりとなるとともに、自然の神秘やすばらしさも再確認させてくれる。ヘタな自己啓発の本よりも役にたつ、大人にもオススメの本である。ぜひ、読んでみてください。