大東中学校では、今月、道徳の授業づくりに力を入れています。中でも、道徳の22の内容項目のうち、最後に位置づけられている「よりよく生きる喜び」について、各学年でじっくりと授業研究を進めています。
この「よりよく生きる喜び」は、これまでの道徳の項目にははっきりとはなかった新しい価値観です。人としての成長や生き方の深まりを大切にする視点から、新しい教科書に加えられました。
授業するのが難しい内容ですが、生徒たちが、自分の生き方について考えたり、前向きに生きることの意味を見つけたりできるよう、先生方も工夫をこらしながら授業づくりに取り組んでいます。
1年生・・・・「いつわりのバイオリン」
2年生・・・・「足袋の季節」「チューインガム1つ」
3年生・・・・「世界を動かした瞳」
今回は2年生の「足袋の季節」から感想を紹介します。

<あらすじ>
主人公「私」は、若い頃に小樽の伯母を頼って暮らしていた。家庭は貧しく、郵便局で働きながら、わずかな給料で生活していた。冬の寒さの中、足袋も買えず、素足で雪道を通勤する日々だった。
ある日、郵便局に大福餅を売りに来ていたおばあさんに、上司の指示で10銭玉を渡して餅を買うよう頼まれる。しかし「私」は、わざと「50銭玉だった」と嘘をつき、おばあさんから40銭のお釣りを受け取る。そのお金で足袋を買おうとしたのだった。
おばあさんは「ふんばりなさいよ」と一言だけ言い、主人公の心に深く残る。
その後、主人公は試験に合格し、初任給をもらった日に果物籠を持っておばあさんに謝りに行くが、すでに亡くなっていたことを知る。深い後悔と自責の念に駆られ、果物籠を川に投げ捨てる。
<生徒の感想より>
・自分が忘れてはいけないと思う後悔は、親戚のおばあさんに関することです。おばあさんはいつも家までお菓子などを持ってきてくれていましたが、恥ずかしくていつも2階に隠れてしまっていました。そんなある日、おばあさんが突然病気になり、亡くなってしまいました。もっと感謝の気持ちを伝えていればよかった。
・自分が間違ったことをしても、過去のことを自分のここに常に置いておき、これからの自分の未来へ生かしていく。過ちを犯してしまっても、それを強さへ変えていく。私は、これから過去の弱さを今後の自分の強さへ変えていけるような人生を送りたい。
・自分には病気だった友達がいて、いつも手紙を書いてくれていました。でも、自分は一度も返事を書いたことがありませんでした。その友達は、やがて亡くなってしまいました。どうして一度も返さなかったのだろうと、今でも後悔しています。この経験を通して、人とのつながりを大切にして生きていきたいと思うようになりました。